企業の採用活動において、求職者とのマッチングや優秀な人材の獲得は重要な課題です。しかし、ただ求職者を集めるだけではなく、企業の文化やビジョンに共感し、長期的な関係を築ける人材を採用することが求められます。そのために、パーパスとMVVの明確化が欠かせません。本記事では、採用におけるパーパスとMVVの必要性やメリットについて解説します。パーパスとMVVの重要性を理解し、採用活動における戦略の一環として活用してください。1. 「パーパス」「MVV」とは?「パーパス」とは、以下のような問いに対する答えとなる、企業の目的や存在意義を指します。 ※パーパスは一度策定したら基本的には「(そう大きくは)変わらないもの」とされています。「MVV」とは、ミッション(Mission)、ビジョン(Vision)、バリュー(Value)の頭文字をとった略語を指します。これらは企業の目指す方向性を示し、事業の成長に向けた羅針盤としての役割を果たします。採用においてパーパス、MVVを作成する大きな目的は以下の通りです。 パーパス、MVVに共感してくれる仲間を集めるため バリューで定めた行動規範に沿った行動ができる人材を採用するため バリューの評価基準を基に評価の仕組みを構築するため2. パーパスとMVV(ミッション、ビジョン、バリュー)の関係性パーパスとミッションの概念を体系的に表すと、以下の図のようになります。「なぜ社会に存在するのか」自社の存在意義を明確にし、向かうべきゴールとなる最上位の概念として「パーパス」が存在します。 このパーパスを前提としたときに「私たちは何を行うべきか」を表すのが「ミッション」です。 そのミッションを進めて「いつまでに、どこを目指すのか」を表すのが「ビジョン」。 そして最後に、パーパスに向かっていくために大切にすべき価値観や行動の基準を設け、「どのように実現するか」を表すのが「バリュー」です。3. パーパス、MVVの作成が採用活動に与えるメリットパーパス、MVVの作成が採用活動に与えるメリットを7つ解説します。3.1 自社の存在意義を求職者に明示できるパーパスを作成すると、企業の存在意義や目的、社会や顧客に提供する価値を明示できるようになるので、求職者に対しても「自社がなぜ世の中に存在し、社会と顧客とどのようなつながりを持ち、価値を提供していくのか」を伝えられるようになります。3.2 面接官ごとの採用基準のズレを防げるパーパス、MVVを明確にすることで、「自社がどのような人材を必要としているか」「自社に合う人材 / 合わない人材」が明確になります。その結果として、面接官が統一の採用基準を持てるようになり、面接官ごとに採用基準のズレが発生するのを防げるようになります。3.3 自社の価値観に合う人材を採用できる企業はパーパスやMVVの作成を通じて、重視する価値観を明文化し、社外に発信します。 その明文化された価値観を採用合否の判断基準に設定することで、自社の価値観に合った人材を採用しやすくなります。 「自社のパーパスやMVV」と「求職者のパーパスやMVV」の重なり合う面積が大きいほど、自社の価値観に合う人材ということになります。3.4 入社者のエンゲージメントが高まり、リファラル採用の促進につながるパーパスがあれば仕事における自分の存在意義も見出しやすくなるので、社員のモチベーションが向上し、エンゲージメントが高まります。 また、企業のパーパスやMVVに共感して入社した社員はエンゲージメントが高い傾向にあり、 「自社のことが好き」「誇らしい」と感じることが多いので、友人や知人に自社を紹介する機会が増え、リファラル採用の促進につながるでしょう。3.5 自社がどのような人材を求めているかをより明確にできるパーパスやMVVを作成していないと、採用したいポジションに必要な経験やスキルばかりにとらわれてしまい、「本当に自社に合う人材はどのような人材か」が不明瞭になり、求めている人材を採用できなくなってしまいます。 パーパスやMVVが存在すれば、それらの内容から逆算して、自社が求める人材をより明確にできるようになるのです。3.6 スカウトを送信する際に、求める人材を言語化して求職者に提示できるパーパスやMVVは求職者にスカウトを送信する際にも役立ちます。 パーパスやMVVがあることで、求める人材の解像度を高めて語化して求職者に伝えることができます。 求める人材を抽象的なに記載してスカウトを送信するよりも、パーパスやMVVと紐づけて、より具体的に「こういう人材を求めています」とスカウトを送信するほうが求職者に自社で働くイメージを持たせやすくなったり、求職者の興味や関心を高められたりするので、スカウトの効果が高まることが期待されます。3.7 面談や面接で求職者へのアトラクトの材料になるカジュアル面談や面接に参加した求職者の重視している価値観と自社のパーパスやMVVの重なる部分があれば、積極的に訴求していきましょう。 求職者を引きつけ(アトラクトでき)、「この企業は自分に合っている」「この企業で働きたい」と思ってもらいやすくなり、意向上げにつながります。4. パーパスとMVVを明確にして採用活動を行おう採用活動においてパーパスとMVVを明確にすることは、企業にとって大きなメリットをもたらします。パーパスとは企業の存在意義や目的を明確にし、MVVは使命・ビジョン・価値観を示す要素です。パーパスとMVVを明確化し、採用活動に取り入れることで、企業の成長と発展に貢献してください。採用におけるパーパスとMVVの重要性を理解し、今後の採用戦略に活かしていきましょう。