書類選考や適性検査の通過率が低いと、せっかく求職者が応募したとしても採用に至らず費用だけがかかってしまったり、採用する職種が属する部署の担当者からの信頼を損ねてしまったりします。 本記事では、書類選考や適性検査の通過率の低さがもたらす影響や通過率が低い原因、通過率改善のための対策を解説します。1. 通過率の低さが採用にもたらす影響とは?書類選考や適性検査の通過率が低いことで、採用活動に以下のような悪影響が生じます。応募があっても通過しない候補者が多いと、1名決定に必要な母集団を多く集める必要が生じる。母集団を集めるために投じる人的リソースや金銭的コスト、時間が増え、採用活動が非効率になる。採用ポジションが所属する部署から「本当に採用要件を理解して候補者にアプローチをしてる?」「◯◯さんが採用担当で大丈夫だろうか?無事に採用してもらえるのだろうか?」と思われて、信頼を損ねることにつながる。1.1 通過率が低い原因を分析する「なぜ書類選考や適性検査の通過率が低いのか?」考えられる原因を記します。1.1.1 書類選考の通過率が低い原因として考えられること書類選考の通過率が低い原因として考えられる5つのことを以下に記します。1.1.2 適性検査の通過率が低い原因として考えられること適性検査の通過率が低い原因として考えられる3つのことを以下に記します。 ※企業側でコントロールできない原因(候補者の地頭や基礎学力など)には言及していません。2. 通過率改善のための対策書類選考や適性検査の通過率を改善するための対策としてターゲットリストを作成します。 「ターゲットとペルソナの違いは何か?」「ターゲットリストとは何か?」「ターゲットリストの作成方法」「求める人物像のすり合わせ」に関する情報を記します。2.1 「ターゲット」と「ペルソナ」の違いは何か?「ターゲット」と「ペルソナ」の違いを理解せずに採用活動を進めるのは危険です。 また、「ターゲットは決めているが、ペルソナまでは決めていなかった…」という採用担当の方もいるかと思います。 以下、ターゲットとペルソナの違いを示した図です。2.2 ターゲットリストとは何か?ターゲットリストとは、データや数字、証拠などの目に見える定量面の情報を集めたものを指します。候補者の定量面に着目した情報をリストアップして「これらを満たしていれば書類選考合格、スカウト送信の対象になる」という要件を決め、ターゲットリストを作成します。2.3 ターゲットリストの作成方法以下記事の「2. ターゲットの設定方法」を参考にして、ターゲットリストを作成してください。【母集団形成】採用におけるターゲットとペルソナの違いは?それぞれの設定方法を紹介2.4 求める性格や志向性のすり合わせを実施採用する職種が属する部署の担当者と各部署のと「採用したい人材の性格や志向性(目には見えない数値化できない定性面の情報)」をすり合わせます。 すなわち募集する職種や設定したターゲットに求める性格や志向性、募集する職種の求職者に共通するであろう性格を言語化していきます。自社が掲げているビジョンやミッション、バリューから合致する人物タイプを読み解き、スカウト文に「こういう性格の人がこの職種に向いてます」と記載して性格や志向性が合致しなさそうな求職者からの応募を減らし、合致しそうな求職者からの応募を増やすようにします。 例.人柄、キャラクター志向性気質転職の軸企業の選定基準考えるキャリアモチベーションコミュニケーション論理的思考力リーダーシップストレス耐性 など 3. JD(ジョブ・ディスクリプション)、求人の修正JD(ジョブ・ディスクリプション)とは、担当する職務の内容や範囲、難易度、求められる経験・スキルなどが詳しく記述された文書のことです。日本語では「職務記述書」と訳されています。規定された業務を遂行することで、組織の生産性向上がもたらされるという観点から、日本企業でも導入が広がっています。 ※欧米の企業では社員の職務を明確に規定し、あいまいさを排除し、業務上の無駄や非効率を少なくして生産性を向上させるためにJDが作成されています。3.1 JDのテンプレートと記入例3.2 JDに記載される項目を洗い出し、求人を修正する以下の「JDに記載される代表的な項目」に沿ってクライアントと一緒に項目の洗い出しを行い、必要になる知識や能力などを整理します。3.2.1 JDに記載される代表的な項目「最低限この項目は抑えてほしい」という項目は以下の通りです。 例.職務ポジション名期待される役割や責任職務等級職務内容※重要度・優先度が高い業務、頻度の高い業務から記載する)※業務内容が多岐に渡る場合は、それぞれの業務が勤務時間の中でどのくらいの割合を占めるのかも記載する。職務の範囲(どのような業務をどのように、どの範囲まで行うのか)権限の範囲求める経験、スキル、知識求める資格求める人物像業務体制(部やチームの構造、レポートライン)※誰が指揮命令を出すのか、誰に進捗を報告すればいいかを記載する。待遇(給与の目安、主な福利厚生、職位に対する評価や査定基準など)勤務条件(勤務地、勤務時間、転勤の可能性など) </aside>3.3 ペルソナが変更になった場合に見直す必要があるポイントペルソナを設定して採用活動を開始したものの、求める人材を集められないという問題が発生することがあります。そんなときはペルソナを変更するのがいいでしょう。 ペルソナの変更に伴い、見直す必要がある5つのポイントを解説します。3.4.1 必要なスキルや経験新しいペルソナに必要とされている経験やスキルを採用する職種が属する部署の担当者とすり合わせます。3.4.2 求める人物の性格や志向性新しいペルソナに必要とされるであろう性格や志向性を採用する職種が属する部署の担当者とすり合わせます。※新しいペルソナが希望するであろう働き方や重視する価値観もすり合わせることをおすすめします。3.4.3 求人票、スカウトの件名・本文「3.4-1 必要なスキルや経験」「3.4-2 求める性格や志向性」で見直した情報をもとに求人票やスカウトの件名・本文の内容を修正します。3.4.4 採用手法や採用チャネル「新しいペルソナに合致する人材が多い採用手法、採用チャネルは何か?」を考え、採用手法や採用チャネルを選定し直す必要があります。3.4.5 面接時の質問項目「3.4-1 必要なスキルや経験」「3.4-2 求める性格や志向性」で見直した情報をもとに、面接の質問項目やどのような深堀りをして求職者から情報を引き出すのかを決めます。4. スカウト送信条件の設定「スカウト送信条件を満たす求職者 ≒ カジュアル面談に参加してほしい求職者」と認識してください。「2.3 ターゲットリストの作成方法」「2.4 求める性格や志向性のすり合わせを実施」で整理した情報をもとに、スカウトを送信する媒体で作成したターゲットリストに限りなく近い検索条件や検索キーワードを設定します。5. その他の対策その他にも書類選考・適性検査の通過率を改善するためにできることがあります。以下の対策もあわせて行いましょう。5.1 書類選考基準を作成し、エージェントに共有するエージェントには書類選考に通過するレベルの人材の基準を共有してください。 理由は、スカウト経由とエージェント経由の応募では、以下のように選考フローが異なる場合があるからです。※スカウト経由、エージェント経由の応募を問わず、クライアント企業の選考フローが同一の場合は、この作業を行わなくてOKです。5.1.1 書類選考基準の作成、エージェントへの共有のしかた「2. 通過率改善のための対策」「3. JD、求人の修正」に基づいて書類選考基準を作成し、エージェントに情報を共有します。書類選考基準を伝える際におさえるべき重要な点は以下の2つです。5.2 適性検査のすり合わせを実施自社が適性検査を実施している場合、面接官が適性検査の結果のどこを見て、どのように合否の判断をしているかをすり合わせます。 ※参考:SPIの分析で何がわかる?基本的な仕組みと活用方法を解説「2.4 求める性格のすり合わせを実施」で得た情報とクライアントが掲げているミッションやビジョン、バリューなどをインプットすれば、合致する人材の適性をある程度は推測できるので、自社のミッションやビジョン、バリューは必ず確認するようにしましょう!6.書類選考や適性検査の通過率を改善し、採用プロセスの効率化書類選考や適性検査の通過率を改善するための有効な方法を紹介しました。これらの方法を取り入れることで、優れた人材を見つける確率を高め、採用プロセスの効率性を向上させることができます。書類選考や適性検査の通過率を改善するためには、情報の適切な提供、適性検査の適正な選定、コミュニケーションの活性化、効率的なプロセスの確立などが欠かせません。これらの方法を組み合わせて採用プロセスを改善し、最適な人材の獲得につなげましょう。