採用手法の定番である、料金を支払って求人広告を掲載する「掲載課金型媒体」。 「一度求人を掲載したら、あとは求職者からの応募を待つだけ」だと思っていませんか? 本記事では、受け身の採用手法と思われがちな掲載課金型媒体を積極的に活用していくことで、求職者からの自己応募、スカウト経由の応募を増やす方法を解説します。1. 「掲載課金型媒体」とは?掲載課金型媒体とは、求人広告を掲載することで料金が発生する媒体を指します。 費用は求人を掲載する期間や求人広告のサイズ、プランなどによって異なります。例. リクナビNEXT、doda、エン転職、マイナビ転職など1.2 掲載課金型媒体のメリット、デメリット掲載課金型媒体のメリット、デメリットを以下の画像でまとめました。1.3 掲載課金型媒体の運用を開始する前に抑えておくべきポイント掲載課金型媒体の利用を開始する前に抑えておくべきポイントを2つ紹介します。1.3.1 採用ペルソナ、ターゲットを明確に言語化しておく求職者が検索条件や検索キーワードを入力して求人を探す掲載課金型媒体において、採用ペルソナ、ターゲットを明確にしておくことは非常に重要です。採用ペルソナ、ターゲットが明確になっていないと、以下のようなデメリットが生じるので、注意が必要です。 ※採用ペルソナとターゲットの違いは、以下の記事をご覧ください。【母集団形成】採用におけるターゲットとペルソナの違いは?それぞれの設定方法を紹介1.3.2 採用要件を満たす候補者数や平均応募率、スカウトの平均返信率のデータを調べる「掲載課金型媒体を利用して採用をしよう」と決めた後に、「どの掲載課金型媒体を使えばいいのだろう」と迷ってしまうことも多いと思います。 そんなときは、利用を検討している掲載課金型媒体をリストアップし、各媒体の「自社の採用ポジションの要件を満たす登録者数」と「アクティブな求職者の割合(※)」と「同職種の他社求人の平均応募率」をかけあわせて「応募数の期待値」を算出し、どの媒体を使うと採用成功の確率が高まるのか、そのデータを調べることが重要です。求人を掲載するだけでなく、スカウトの送信もできる媒体の場合は「その職種のスカウト平均返信率」も事前に調べておくことをおすすめします。 ※「アクティブな求職者」は「転職希望時期:◯ヶ月以内」や「◯ヶ月以内に転職したい会員」などの条件を決め、自社で独自に定義します。2. 求職者からの自己応募を増やす方法求職者からの自己応募を増やすためには、以下の3つの観点に着目し、それぞれの数値を改善するためのアクションを行なうことが重要です。2.1 インプレッション数を増やすインプレッション数とはWeb広告に用いられる単語で、ユーザーに広告が表示された回数を意味します。本マニュアルでは、求職者に自社の求人票が表示された回数という意味で用いています。インプレッション数を増やす4つの方法を解説します。2.1.1 検索タグや職種分類、こだわり条件などの設定を見直す求人票作成時に「検索タグ」や「職種分類」「こだわり条件(特長・トピックス)」などを設定することがあります。 求職者がどの検索タグや職種職種分類で検索をして、作成した求人票にたどり着くのか(※1)こだわり条件や特長・トピックスにチェックを入れやすい項目はどれか(※2)を考えて、これらを設定する必要があります。※1 求人票の作成者が「この検索タグ、職種コードがいいと思う」というものを設定するのではなく、求職者視点に立ってタグや職種分類を設定するのがポイントです。※2 自社の求人の諸条件で、こだわり条件や特長・トピックスに当てはまるものがある場合は、漏れなくチェックを入れて、1人でも多くの求職者に求人が表示されるようにしましょう。2.1.2 求職者に検索されやすいキーワードを求人タイトルに記入する求職者がどのようなキーワードで検索をして、作成した求人票にたどり着くのかを考え、求人タイトルに記載するキーワードを決めます。 社内で当たり前のように使用している単語や「求職者は、こういうキーワードで検索しないよね?」という憶測に基づく単語は使わず、「求職者なら、こういうキーワードで求人を探すだろう」という視点で求人タイトルを作成します。例えば「プロダクトマネージャー」の求人票を作成する場合、タイトルに「プロマネ」や「PM」というキーワードを使用してしまうと、求職者は「プロジェクトマネージャーの求人かな?」と混乱してしまいます。「プロダクトマネージャー」の仕事を探している求職者は、求人を検索する際に「プロマネ」という略語や「PM(一般的には、プロジェクトマネージャーを指す)」というキーワードを用いないことが予想されます。2.1.3 希望条件に合致する求職者に求人票が自動送付されるように設定する求人票に設定した条件が求職者の希望条件に合致する場合に、求人票が自動送付されるように設定できる媒体もあるので、必ず自動送付の設定をしましょう。 求職者に自動で求人票が届くので、インプレッション数の増加が見込めます。2.1.4 求人票が上位表示されるプランに申し込む掲載課金型媒体には、求人の原稿サイズや原稿の構成、インタビューの有無、掲載期間、価格などが異なる、いくつかのプランが用意されています。 上位のプランを選択すると、求職者の目を引く求人原稿ができたり、媒体に優先的に表示されたりするので、インプレッション数を増やすことが可能です。 ※上位のプランの料金や採用の効果は媒体によって異なるので、利用している / 利用を検討している媒体の担当者に、過去に同業他社が同職種で上位のプランを利用したときの効果を聞き、利用するかどうかを判断するといいでしょう。2.2 クリック数・クリック率を増やす前提として、利用する掲載課金型媒体で作成した求人票が、PCやスマホで求職者からどのように見えるのかを事前に確認することが重要です。 媒体によって求職者に表示される求人タイトルの文字数や求人内容の範囲が異なるので、求職者が求人をクリックする前に目にする情報は何かを把握しておきましょう。例. 同じ求人票のPC、スマホからの見え方の違い2.2.1 求職者に刺さるキーワードを求人タイトルの冒頭に記入する「前提」で解説した通り、クリックされる前の段階では、PCからもスマホからも、求人タイトルがすべて求職者に表示されるわけではありません。 募集する職種の求職者が転職時に重視することや転職で解決したいと考えていること、惹かれるであろうポイントや刺さるキーワードを予想して、求人タイトルの冒頭から20文字以内に、求職者が求人票をクリックしたくなる訴求ポイントを記載することが重要です。2.2.2 求職者に働くイメージを湧かせる画像を使用するクリック前の段階では、掲載課金型媒体には1枚の画像しか求職者に表示されないことが多いので、求人票に使用する画像の選定が非常に重要になります。 「この画像を使用することで、求職者にどんなイメージを湧かせたいのか」「求職者の興味や関心を惹けるか」を考え、採用ペルソナに合わせた画像を選定しましょう。 一緒に働くメンバーやチームの雰囲気、職場環境や職場の雰囲気が伝わる写真を掲載するのがおすすめです。2.2.3 求職者から見える部分の求人票の記載内容を修正する掲載課金型媒体の求人票は、求職者が求人をクリックする前の段階では、すべての内容ではなく、一部の内容(※)だけが表示されます。「求職者の目にどのような情報が入れば、求人票のクリックを促せるのか?」を考え、求人票の記載内容を修正しましょう。 ※求職者から見える一部の内容: 簡潔なメッセージやアピール文、仕事内容、応募資格(求める人材)、給与、勤務地2.3 コンバージョン数・コンバージョン率を増やす「コンバージョン」は「転換、変換、変化」を意味する英単語です。 Webサイトを訪問したユーザーが何らかのアクションを起こして、行動が成果に「転換」することから用いられる言葉です。 ここでは、求人票を閲覧した求職者が「応募」という行動に至った数・率を意味しています。コンバージョン数・コンバージョン率を増やす4つの方法を解説します。2.3.1 求人票の構成を修正するコンバージョン数・コンバージョン率を増やしたいなら、求人票に「どのような情報を、どのような順序で記載するのか」を考えて構成を決めることが欠かせません。 しかし、多くの採用担当者が「ペルソナが知りたい情報を、知りたい順序で」ではなく、自分が伝えたい情報を、伝えたい順序で求人票に記載しているのが実態です。 記載する情報の内容と順序を考慮せずに求人票を作成してしまうと、内容を読んでいる途中で「この求人は自分には合わないな」「興味がないな」「なんか違うな」と思われてしまい、離脱され、応募に至らなくなってしまいます。 ペルソナの視点に立ち、「どのような情報を、どのような順序で記載すると求人票を読み進めてもらえ、応募まで至るのか?」を考えて構成を修正しましょう。注意点として、掲載課金型媒体によっては求人掲載後に原稿を修正できる回数の制限があります。 媒体の利用を決める前に、担当者に掲載後の原稿の修正は何回まで可能かを必ず確認しておきましょう。2.3.2 求人票の記載内容を修正する求人票の記載内容を修正するときに「最低でもここだけはおさえておきたい」という4つのポイントをお伝えします。①募集背景を具体的に記載する 求人票の募集背景に「事業拡大のため増員」「欠員補充のため募集します」と記載している企業がほとんどです。しかし、これでは求職者に「現在に至るまでにどのようなことがあって募集を開始したのか」という募集の意義を伝えられず、「自社の未来を見せてワクワクしてもらう」ことができません。 これらを解消するためには*「過去 → 現在 → 未来」*の時間軸に沿って、「『過去』にどのようなことを行ってきて、『現在』はどのような状態・フェーズなのか、『未来』にどのようなことを実現していきたいのか」を募集背景に明記し、求職者に伝えることが重要です。②任せたい仕事内容を具体的に記載する募集職種の仕事内容を箇条書きや抽象的な表現で記載していると、求職者は「これは自分がやりたい仕事に合致しているのだろうか?」「何を任されているのか、よくわからないな…」と思ってしまい、応募につながりません。 任せたい仕事内容を具体的に記載し、求職者に「ここなら働くイメージが湧く!」「過去の経験を活かして活躍できそう!」と思ってもらえるようにしましょう。③ペルソナに「応募したい!」と思わせる情報が記載できているかを見直すありきたりな内容や自社が伝えたい情報を求人票に羅列するのではなく、ペルソナの興味や関心を引く情報は何か、どのような情報が伝われば不安が解消されて応募したくなるのかを考えて情報を記載することが大切です。 掲載課金型媒体では、利用するプランによっては社員インタビューを掲載できるので、ペルソナに近い社員を選び、ペルソナが知りたい情報を起点に考えてインタビュー記事を作成してもらうのも効果的です。④「必須要件」「求める人物像」に記載する要件の数を減らす「必須要件」「求める人物像」に箇条書きで多くの要件が記載されていると、求職者は「この会社は求めることが多くて、ハードルが高いな…」「自分には厳しそうだな…」と尻込みし、応募しなくなってしまいます。 「組織課題を解決するために最低限これだけは入社前から備わっている必要がある」という要素以外は求人票に記載しないのが得策です。2.3.3 提示年収、諸条件を見直す募集職種の求人票に記載した提示年収帯や諸条件と市場や他社の提示年収帯や諸条件の乖離が大きいと、自社の求人の魅力が下がってしまい、応募につながらなくなってしまいます。 応募を獲得するためには、採用市場という全体像を意識し、その中で自社の求人の条件は見劣りしていないか?を考慮することも重要です。2.3.4 求人を閲覧した、求人に「気になる」を押した求職者にアプローチをする掲載課金型媒体の中には、掲載した求人を閲覧または「気になる」を押した求職者を表示して、応募を促進するアプローチができる媒体もあります。(※) 何かしら気になる点があったり、興味や関心を持ってくれたりしたから、求人を閲覧、「気になる」を押したと予想できるので、積極的にアプローチをし、応募につなげていきましょう。※すべての掲載課金型媒体に共通して備わっている機能ではないので、利用している / 利用を検討している媒体の担当者に、この機能が備わっているかを確認してください。3. スカウト経由の応募を増やす方法掲載課金型媒体は求人原稿を掲載して求職者からの応募を待つだけではなく、企業が求職者を検索して、スカウトを送信することもできます。 ここでは「スカウト」経由の応募を増やす方法を大きく3つに分けてお伝えします。 自己応募とスカウト経由の応募の両方を増やし、掲載課金型媒体の効果を高めましょう。3.1 スカウトを送信するターゲットを見直すスカウト経由の応募を増やすには、「いつ」「誰に」「どのような内容」のスカウトを送信するかを考えることが重要です。ここでは「誰に」にフォーカスしてスカウト経由の応募を増やす方法を解説します。3.1.1 細分化し、複数設定したターゲットに合わせたスカウトメールを作成する募集職種に対して、「スカウト送信ターゲットを幅広く設定しすぎている」「1つしかターゲットを設定していない」というケースがあります。 ターゲットの幅が広すぎるアプローチは、求職者に「このスカウトは自分に対してのものなのか」「ズレていないか」という不信感を抱かせやすくなります。 1つしかターゲットを設定していないと、ターゲットがズレていたときに応募がまったく得られなくなり、非効率な採用になってしまいます。これらの問題を解決するためには、基準を決めてターゲットを細分化し、複数設定したターゲットに合わせて複数のスカウトのテンプレートを作成して、スカウトを送信すると良いでしょう。 以下に、悪い例と良い例を示します。3.1.2 スカウト返信率が高い傾向にある求職者にスカウトを送信するこれまでに求人を閲覧または「気になる」を押した求職者や媒体への最終ログイン日が近い求職者はスカウトメールに反応しやすい傾向にあります。 以下の点に気を配って媒体の検索画面で求職者を検索し、アプローチをしてみてください。①「求人を閲覧」「気になる」を押した求職者にチェックを入れる検索画面で、これまでに掲載した求人を閲覧した求職者や求人に「気になる」を押した求職者を絞り込める媒体もあります。 これらの求職者は、何もリアクションがない求職者よりもスカウトメールに反応しやすい傾向にあるので、積極的にアプローチをすることで応募を獲得しやすくなるでしょう。②「最終ログイン日」を「1日以内」や「3日以内」など直近に設定する表示される求職者数を担保するために、最終ログイン日を「2週間以内」や「1ヶ月以内」に設定して求職者を検索される採用担当者が多いと思います。 ここは思い切って「1日以内」や「3日以内」で絞り込み、直近で媒体にログインしている(= 積極的に転職活動をしていると予想される)求職者にアプローチをしていきましょう。③「転職希望時期」を「すぐにでも」や「1ヶ月以内」など直近に設定する一般的に転職に要する期間は3 〜 6ヶ月と言われることから、求職者の転職希望時期を「3ヶ月以内」や「6ヶ月以内」で検索する採用担当者が多いです。 この「転職希望時期」を「すぐにでも」や「1ヶ月以内」などの短い期間に指定することで、離職や離職予定の求職者にアプローチをしやすくなります。 「離職」の求職者は退職済みのため、「離職予定」の求職者は退職日が決定しているため、次の会社を急いで探していることが多く、スカウトへの返信率が高い傾向にあります。 募集職種の採用目標月が迫っているときや急ぎで人材が必要になったときは、この手法を活用して求職者にアプローチをするといいでしょう。3.2 スカウト開封率を改善する方法スカウトを受け取った求職者に、件名の全文が表示されるわけではありません。 媒体にもよりますが、冒頭から15文字程度が表示されることが多いので、冒頭から15文字以内で訴求ポイントを記載し(【フルリモート】【フルフレックス】など、フックになりやすい単語を記載)、求職者に「条件が良さそうだな」「現職での不安や不満が解消されそう」「気になるからスカウトメールを見てみよう」と思わせ、開封につなげることが重要です。3.3 スカウト返信率を改善する方法スカウトが開封されても、返信を得られなければ、スカウト送信の目的を達成したとは言えません。 スカウト返信率を改善する方法も非常に重要な内容のため、別記事にて詳細をまとめます。4. 掲載課金型媒体を積極的に活用しよう掲載課金型媒体を利用してより多くの応募者を獲得する方法を紹介しました。受け身の姿勢ではなく積極的に掲載課金型媒体を活用することで、優れた人材を募集するチャンスを広げることができます。掲載課金型以外の媒体で募集することも効果的です。例えば以下の記事では、ダイレクトリクルーティング媒体を利用して応募者数を増やす方法を紹介しています。本記事とあわせて参考にしてください。ダイレクトリクルーティング媒体を利用して応募数を増やす方法