企業自らが所有し、情報発信をする媒体(主に自社のWebサイトやブログなど)である「オウンドメディア」。 自社の認知拡大や候補者からの応募獲得のためにオウンドメディアを作成したものの、「いまいち活用しきれてなくて、放置気味…」という状態になっていませんか? 本記事では、オウンドメディアの認知を拡大して閲覧数を増やす方法や、オウンドメディア経由の応募数を増やす方法を解説します。 改善のポイントを学び、今まで活かしきれていなかった自社の財産であるオウンドメディアを有効活用し、採用の成功につなげていきましょう!1.「オウンドメディア」とは?オウンドメディアとは、企業自らが所有し、情報発信をする媒体のことを意味し、 主に自社のWebサイトやブログなどを指します。SNSや自社の社員、説明会などのイベントもオウンドメディアに含まれます。1.1 「オウンドメディアリクルーティング」とは?オウンドメディアリクルーティングとは、企業がテキストや写真、動画といった多彩な手法で自社の求める人材や企業文化、労働環境などについて共感を喚起するような詳細な情報をオウンドメディア上で主体的に発信し、求職者がアクセスしやすいメディアを活用して情報を正確に届ける採用手法のことです。 この発信によって、求職者はどのような企業なのか理解・納得した上で働く企業を決めることができ、入社後のギャップが生まれにくくなります。それにより、企業は付加価値の高い人材を採用できるようになるので、求職者と企業の双方にとって最適な選考状況が生まれやすくなるのです。1.2 オウンドメディアリクルーティングの主な目的オウンドメディアリクルーティング(OMR)に取り組む前に、まず「そもそも、なぜOMRを実践するのか?」という目的を明確化することが重要です。 「採用後に会社に定着してもらえない」「面接時に自社のカルチャーを理解していない人からの応募が多い」など、自社が解決したい課題を明確にしてから目的を設定するとよいでしょう。 企業の解決したい課題によって目的の設定はさまざまですが、以下のような目的を設定することが一般的です。1.3 採用にオウンドメディアを活用するメリット・デメリット企業が採用においてオウンドメディアを活用するメリット、デメリットを解説します。大きなメリットとなるのは、先述のとおり企業の文化を発信でき、求職者とのミスマッチを減らせることでしょう。自社の文化を理解した状態で入社してもらえれば、長く働き続けてくれる可能性が高まります。一方で、オウンドメディアは運用してからすぐに人々の目に留まるわけではありません。インターネットの検索エンジン上で上位に表示されたり、SNSで注目されたりするまでには、多くのコンテンツを発信し、更新し続ける必要があります。そのため、効果が出るまで数カ月〜数年かかるのが基本です。短期間で採用をしたい場合は、OMRは不向きといえるでしょう。2. オウンドメディアの閲覧数を増やす方法せっかく人手と時間をかけてオウンドメディアを用意したとしても、求職者から閲覧されなければ意味がありません。 ここでは、オウンドメディアの閲覧数を増やす方法を8つ解説します。注意点 ①ここで解説する方法は、HTMLやCSS、Javascriptのコードの書き換えなどのWebデザイナー、フロントエンド・エンジニアやSEO対策やリスティング広告などのマーケターの力を借りる方法ではなく、あくまでも採用担当者が改善できる方法にフォーカスしています。②基本的には、オウンドメディアの閲覧数を増やすには年単位の時間を要します。 施策を行ってすぐに爆発的に閲覧数が伸びることは非常に稀なので、コツコツと改善を重ねていく姿勢で臨みましょう。戦略的にキーワードを選定してコンテンツを作成する求職者がクリックしたくなる記事タイトルをつける掲載するコンテンツの質を高めるオウンドメディアに内部リンクを埋め込み、サイト内での回遊率を上げるスカウトメールにオウンドメディアのURLを載せるカジュアル面談や面接実施前に候補者にオウンドメディアのURLを送付する人材紹介会社の求人票にオウンドメディアのURLを載せる社員にオウンドメディアのURLをSNSで拡散してもらう2.1 戦略的にキーワードを選定してコンテンツを作成するオウンドメディアの閲覧数を増やすには、やみくもにキーワードを盛り込んでコンテンツを作成するのではなく、戦略的にキーワードを選定することが必要不可欠。 「キーワードが検索される回数の多さ」でキーワードを選定してコンテンツを作成しても、他の強豪サイトの方がコンテンツが多かったり、運用期間が長かったりすると勝つことができず、閲覧数の増加につながりません。 検索される回数が少なくても、自社に興味を持つ求職者が検索しそうなキーワードでコンテンツを作成することで、閲覧数の増加が期待できます。単純に数値だけを見てキーワード選んで記事を作成するだけでなく、自社が求めている人物像を想定し、その人物が検索していそうなキーワードで記事を作成することを優先しましょう。2.2 求職者がクリックしたくなる記事タイトルをつけるコンテンツの中身が良くても、そもそも記事がクリックされないと、閲覧数は増えません。 求職者にとってどのような内容かわかりづらい記事タイトルや興味を惹かない記事タイトルだと、「これは自分には関係のない記事だな」「自分が求めている情報ではなさそう」と思われてしまいます。 求職者が思わずクリックしたくなる、魅力的な記事タイトルをつけて閲覧数を増加させましょう。以下に、求職者を惹きつける魅力的な記事タイトルをつけるポイントを記します。2.3 掲載するコンテンツの質を高める閲覧数を増やすためには、求職者に「質の高そうな記事が掲載されているな」「自分にとってメリットになりそうだから、この記事を読んでみようかな」と思わせることが重要です。 掲載するコンテンツの質を高めるのにおすすめしたいのが、シェアードバリューコンテンツ(自社の価値や魅力を求職者との間で『シェア(共有)』するためのコンテンツ)の作成です。 シェアードバリューコンテンツは、以下の2つのカテゴリのコンテンツに分けて考えます。「パーパスコンテンツ」「カルチャーコンテンツ」で発信するコンテンツの例は以下です。 これらの中から、自社のオウンドメディアに欠けているコンテンツを優先順位づけをして作成するとよいでしょう。2.4 オウンドメディアに内部リンクを埋め込み、サイト内での回遊率を上げるオウンドメディアの記事同士に内部リンクを埋め込むことで、一度のアクセスで複数の記事にアクセスしてもらえる確率が上がります。 関連、参考テーマの記事のリンクを貼り、オウンドメディア内の回遊率を上げることで、閲覧数を増やしましょう。2.5 スカウトメールにオウンドメディアのURLを載せる求職者に送信するスカウトメールにオウンドメディアのURLを載せることで、オウンドメディアの存在を認知してもらえます。 閲覧数を増やせるだけでなく、求職者の自社に対する興味や関心を高め、意向醸成にもつながるので、おすすめの手法です。2.6 カジュアル面談や面接実施前に候補者にオウンドメディアのURLを送付する自社に興味を持ってカジュアル面談を希望されている求職者や面接の日程調整、日時確定の連絡メールにオウンドメディアのURLを載せます。 求職者との連絡の中でオウンドメディアを紹介することで、閲覧数を増やせます。 加えて、オウンドメディアの内容を求職者に読んでもらうことで、ミスマッチの低減や自社のことをより知ってもらう機会の提供というメリットもあります。2.7 人材紹介会社の求人票にオウンドメディアのURLを載せるもし人材紹介会社を利用して採用をしているなら、人材紹介会社の担当者に依頼をして、求人票にオウンドメディアのURLを載せてもらうのが有効です。 担当者から伝えきれない、自社のリアルな情報を求職者に知ってもらえます。 人材紹介会社経由で応募する求職者にもオウンドメディアにアクセスしてもらい、閲覧数を増やしましょう。人材紹介会社経由で求職者を増やすコツを、こちらの記事で解説しています。人材紹介会社経由の応募を増やす方法2.8 社員にオウンドメディアのURLをSNSで拡散してもらう閲覧数を増やすには、「いかに多くの人の目に触れるようにするか?」が重要です。 オウンドメディアでコンテンツを更新していても、人の目に触れるようになるまで時間がかかります。そこで、時間を少しでも短縮するために、オウンドメディアのURLや作成したコンテンツを社員にFacebook、Twitter、LinkedInなどでシェアしてもらい、多くの求職者の目に触れる機会をつくりましょう。 社員の知人や友人の中にいる転職潜在層にまで、自社のオウンドメディアを届けられるかもしれません。3. オウンドメディア経由の応募を増やす方法作成したオウンドメディアやコンテンツを求職者に閲覧してもらえるようになって満足していたら、採用担当としてNGです。 閲覧した求職者が「応募したい!」と思い、応募するまでが、採用におけるオウンドメディアが果たす大きな役割になります。 オウンドメディア経由の応募を増やす方法を5つ解説していきます。ペルソナ、ターゲットが必要としている情報を掲載するペルソナ、ターゲットがカジュアル面談や応募前に抱く疑問や不安を解消するための情報を掲載する自社のリアルが伝わるコンテンツを作成する「カジュアル面談を希望」「話だけでも聞いてみたい」という求職者も歓迎する応募時に取得する情報(応募フォームの記入項目)を最小限におさえる3.1 ペルソナ、ターゲットが必要としている情報を掲載する自社が発信したいと思うコンテンツを作成するのもいいのですが、オウンドメディア経由の応募を増やしたいなら、「ペルソナ、ターゲット(※)がどのような情報を必要としているのか?」「ペルソナ、ターゲットがコンテンツを読んだあとに、どのような心理状態になってほしいか?」「コンテンツを読んだペルソナ、ターゲットに促したい行動は何か?」を起点に考えて、コンテンツを作成することが重要です。むやみにコンテンツを作っても、自社のペルソナに響く内容になっているとは限りません。OMRのメリットでもある「求職者とのミスマッチを防ぐ」という面からも、ペルソナ、ターゲットを決めてからコンテンツを作成するのがおすすめです。※採用ペルソナ、ターゲットの詳細に関しては、こちらの記事をご覧ください。【母集団形成】採用におけるターゲットとペルソナの違いは?それぞれの設定方法を紹介3.2 ペルソナ、ターゲットがカジュアル面談や応募前に抱く疑問や不安を解消するための情報を掲載するオウンドメディアを閲覧したペルソナ、ターゲットがカジュアル面談や応募に進むのが、OMRの理想形です。 ただし、コンテンツを閲覧したからといって、そう簡単にカジュアル面談の希望や応募を獲得できるものではありません。 そこで重要になるのが、「ペルソナ、ターゲットがカジュアル面談や応募前に抱く疑問や不安は何か?」を考え、それらを解消するための情報を掲載することです。 オウンドメディアを閲覧した段階で疑問や不安が解消されていると、カジュアル面談や応募に進む際のハードルがなくなり、応募を獲得しやすくなります。カジュアル面談前後の辞退や不合格を防ぐためのコツをこちらの記事で解説しています。カジュアル面談前後の辞退・不合格を防ぐ施策3.3 自社のリアルが伝わるコンテンツを作成する求人票だけでは伝えきれない、自社のリアルな情報が求職者に伝わるコンテンツを作成することも、応募を獲得する手段として有効です。 ただし、自社の良い点ばかりを掲載するのではなく、抱えている課題や改善に着手している点、これから改善したいと思っている点などの一見ネガティブに映る情報も真実として掲載することがポイント。 自社の良い点や自慢ばかりを載せていると、求職者は「本当にこんなに良い点ばかりの企業なの?」「何か裏があるんじゃないの?」「逆に怪しい…」と思ってしまいます。サイバーエージェントのCHO・曽山 哲人氏は、これからの採用トレンドの考え方として「3e(トリプルe)」を提示しています。「3e」とは? 以下の「e」から始まる3つの単語を意味します。 ・exposure(さらけ出し)・esteem(承認欲求) ・emotion(感情)この「3e」の1つが「exposure(さらけ出し)」。 「真実をさらけ出して伝える企業は信頼感が高まり、本当の強さを出す努力を続けているので、結果的に会社も良くなり、採用力も上がる」という考え方です。3.4 「カジュアル面談を希望」「話だけでも聞いてみたい」という求職者も歓迎する採用担当者にありがちな勘違いに「求職者ははじめから、自社への志望度が高いと思い込んでいる」ことがあります。 正直に申し上げますと、自社への志望度が応募段階から高い求職者は、ほんの一握りです。 求職者に「応募 = 選考」と思わせてしまうと、応募のハードルが高く感じられ、応募に踏み切れなくなってしまいます。採用者数を増やしたいがあまり、前のめりな表現を使い過ぎると求職者の意欲を下げてしまいかねません。 そのため「カジュアル面談受付中」や「カジュアル面談をご希望の方はこちら」「『まずは話だけでも聞いてみたい』という方も大歓迎です!」などの文言をオウンドメディアやコンテンツに記載し、応募へのハードルを下げる工夫をしましょう。3.5 応募時に取得する情報(応募フォームの記入項目)を最小限におさえる求職者が「応募してみようかな」と思ったあとに障壁になるのが、応募時に記入する情報の多さです。 氏名や連絡先だけでなく、在籍企業や簡単な経歴、志望動機を記入する、履歴書や職務経歴書を提出してもらうなど多くを求めすぎると、この段階で求職者は離脱してしまい、結果として応募に至らなくなってしまいます。 応募を増やすためには上記のようなことをせず、氏名と連絡先(メールアドレス、電話番号)だけをフォームに記入すれば応募ができるようにし、求職者の負荷を減らすことに注力しましょう。4. オウンドメディアの閲覧数を増やすことが最優先オウンドメディアは、自社のブランド価値を伝え、信頼性を高める重要なツールです。情報を閲覧者に提供し、魅力的なコンテンツを通じて求職者の関心を引き付けることで、組織の成長と優秀な人材の獲得に貢献することができます。オウンドメディアの閲覧数を増やすためには、高品質なコンテンツの継続的な更新が不可欠です。ペルソナ、ターゲットのニーズに応える情報を提供することで、メディアそのものの価値も上がります。またSNSやメルマガなど、他のチャネルとの統合も効果的です。オウンドメディアを活用しながら、複数のプロモーション手法を組み合わせることで、より多くの人々にリーチし、応募数を増やすことができます。同時に、オウンドメディア経由の応募数を増やすためには、求職者のニーズや期待に対応する求人情報の掲載も重要です。応募プロセスをシンプルにすると、アクションを起こすユーザーが増加します。OMRには長期間に渡るオウンドメディアの運用が必要ですが、継続的な改善と分析によって、組織の成長と人材獲得に積極的な影響をもたらすでしょう。