現代の情報収集、コミュニケーションツールとして欠かせない存在になった「SNS」。 この便利なツールは、採用手法にも影響を与えています。 これまでに求職者はGoogleやYahoo!などの検索サイトで検索して求人情報を得ていました。 しかし今では、TwitterやInstagram、TikTokなどのSNSを通じて求人情報を収集、検索する人も増えてきています。本記事では、時代や求職者の変化に適応した採用を行うために、SNSリクルーティングでフォロワー数、応募数を増やす方法を解説します。1. 「SNSリクルーティング」とは?「SNSリクルーティング」とは、Twitter、Facebook、InstagramなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用して採用活動を行うことです。「SNS採用」と呼ばれることもあります。SNSリクルーティングの特徴、注目されるようになった背景を解説します。SNSは基本無料で使用できることから、求人サイトなどを使って求職者を集めるよりも金銭的なコストを抑えることが可能です。自社が狙ったターゲット層にアプローチしやすいことや、求職者から自社に直接メッセージが届くため素早いコミュニケーションが可能な点も特徴といえます。昨今は若い世代を中心にSNSで情報を集める人が増加中です。特に10代後半〜20代はデジタルネイティブと呼ばれる世代で、長年SNSを使ってきています。そのため、採用情報もSNSを使って集める傾向があるのです。将来的に就職・転職を考えている若年層へのアプローチとしてもSNSは効果があります。1.1 SNSリクルーティングで利用されるSNSの種類SNSリクルーティングで利用される代表的なSNSは、Twitter(X)、Facebook、Instagram、LINE、TikTok、YouTube、LinkedInなどです。 各SNSの特徴、日本国内の月間アクティブユーザー数、世界の月間アクティブユーザー数は以下の通りです。日本国内で見るとTwitter(X)、LINE、YouTubeのアクティブユーザーが多いことが分かります。一口にSNSリクルーティングと言っても、SNSごとにユーザー数やユーザーの層は異なります。自社がどのような人材を募集したいのか明確にし、その人材が利用してそうなSNSを活用することも重要です。1.2 SNSリクルーティングのメリット、デメリット企業がSNSリクルーティングを利用するメリット、デメリットを解説します。SNSはユーザー数が多いことから幅広いターゲットにアプローチすることが可能です。直近での就職・転職を考えていない潜在層にもアプローチできます。また先述のとおり金銭的なコストを抑えられることもメリットです。SNSは文章だけでなく写真・画像・動画などを使用して自由に投稿することができます。求職者が求人サイトだけでは知り得ない、自社のリアルな情報・魅力を伝えることも可能です。一方、投稿内容によっては炎上を招き、自社のイメージを損ねてしまうリスクがあるので、運用には細心の注意を払う必要があります。さらにSNSにフォロワーが集まるまでには時間がかかるので、長期間の運用が求められることも理解しておきましょう。2. SNSリクルーティングを始める前におさえるべき5つのポイント「最近話題だから」「競合他社もSNSリクルーティングをやっているから」という安易な考えでSNSリクルーティングを始めるのは危険です。 何も考えずに始めてしまうと、得たい成果を得られなくなってしまいます。 SNSリクルーティングを始める前におさえるべきポイントは以下の5つです。3. フォロワー数を増やす方法SNSのアカウントを開設したら、自社に興味や関心を持ってくれるフォロワー数を増やすことが重要です。フォロワー数を増やす方法を9つ解説します。プロフィールやアイコン、カバー画像を魅力的にする社内外の人とコミュニケーションをとれる場にSNSアカウントへの導線を設けるターゲット層がアクティブな時間帯に発信する投稿の回数を増やす、頻度を上げるハッシュタグを活用するこちらからユーザーに積極的に働きかける影響力のあるアカウントとの交流を図る人事の個人アカウントで運用するユーザーにとって有益な情報を発信する 注意フォロワー数を購入する外部のサービスがありますが、これを行うとSNSアカウントが永久凍結される可能性があるので、絶対にやめましょう。 フォロワーを購入していたことがユーザーに知れ渡ると、企業としての社会的な信頼を失います。3.1 プロフィールやアイコン、カバー画像を魅力的にするユーザーがアカウントをフォローするかどうかを判断するときは、基本的にはそのアカウントのプロフィール画面を経て、フォローするかどうかを決めます。 そのため、プロフィールに「このアカウントは何なのか」「何を発信しているのか」「このアカウントをフォローすると、どのような情報が得られるのか」のメリットを記載し、ユーザーに提示する必要があります。 アイコンやカバー画像には、インパクトがある覚えてもらいやすいものを選定しましょう。自社の代表的な商品やサービス、ユーザーの見覚えのあるロゴなどを掲載するのがおすすめです。3.2 社内外の人とコミュニケーションをとれる場にSNSアカウントへの導線を設ける仕事をしていると、社内外の人とコミュニケーションをとる機会が多くあります。 その機会をSNSアカウントのフォロワーを増やすために活用することができます。 以下に手法を3つ示します。自社のHPや採用サイト、オウンドメディアなどにSNSアカウントを組み込む社内外のミーティングやセミナー実施時の背景にアカウントのQRコードを掲載するメールの署名にアカウント情報を掲載する3.2.1 自社のHPや採用サイト、オウンドメディアなどにSNSアカウントを組み込む自社のHPや採用サイト、オウンドメディアなどがある場合は、SNSアカウントを掲載し、ユーザーにSNSをしていることがわかるようにします。 自社に関するページを訪問したユーザーがSNSのアカウントを見てくれれば、フォロワーになる可能性が高まります。 以下に株式会社サイバーエージェントのHPに掲載されたSNSアカウントへの導線の例を掲載します。3.2,2 社内外のミーティングやセミナー実施時の背景にアカウントのQRコードを掲載するリモートワークが普及してから、社内外のミーティングやセミナーをオンラインで実施するようになりました。 これらの機会もSNSアカウントのフォロワーを増やすチャンスです! ミーティングで使用する背景画像にSNSアカウントのQRコードを掲載し、ミーティングやセミナー参加者にフォローを促しましょう。3.2.3 メールの署名にアカウント情報を掲載する社内外の方や候補者とのやりとりで使用するメールにもSNSアカウントの情報を掲載することで、「SNSをやっている」と認知してもらいやすくなり、フォロワー数を増やせる可能性が高まります。3.3 ターゲット層がアクティブな時間帯に発信するフォロワーを増やすためには、アカウントの存在を認知してもらうことが重要です。 認知を獲得するには投稿を多くのユーザーの目に触れるようにする必要があります。 「ターゲットがアクティブな時間帯はいつか?」を調べ、自社のターゲットに合わせた発信時間帯になるように発信タイミングを調整するといいでしょう。例えば、20〜30歳のビジネスパーソンをターゲットにする場合、通勤の時間に当たる7〜8時台、仕事終わりから就寝前の時間に当たる22〜24時台がアクティブな時間帯になる傾向があります。あくまでこれは例であり一概に言えるわけではなく、ターゲットの職種や家族の有無などによっても変わるため、各社で調査することをおすすめします。3.4 投稿の回数を増やす、頻度を上げるフォロワー数を増やすためには、アカウントがアクティブに運用されている必要があります。投稿頻度が低いよりも高いほうが、ユーザーに興味を持ってもらいやすくなります。 「1日のうち朝・昼・晩の3回投稿する」と社内でルールを決めて運用するようにしましょう。ただし、あまりに投稿数が多いとフォロワーが迷惑に感じ、ミュートしたりフォロー自体を外してしまったりする可能性があります。投稿回数を増やすことは重要ですが、常識的な範囲内に収めることも意識してください。3.5 ハッシュタグを活用するSNSのユーザーはハッシュタグ(#)検索を活用して自分がほしい情報を探すことが多いです。ハッシュタグを活用することで、自社のアカウントをまったく知らないユーザーにアカウントを見つけてもらえる可能性が上がります。 「ターゲットがどのようなキーワードでハッシュタグ検索をするか?」を想像して、投稿にハッシュタグをつけるといいでしょう。3.6 こちらからユーザーに積極的に働きかけるユーザーからフォローしてもらうのを待っているだけでは、フォロワーは増えていきません。 こちらからユーザーを探し、積極的に働きかけをすることも大切です。 以下に、ユーザーに働きかけをするときのポイントを2つ記します。競合他社のフォロワーをフォローする自社の商品やサービスに言及してくれているユーザーを探す3.6.1 競合他社のフォロワーをフォローする競合他社をフォロワーしているということは、自社にも興味を持ってくれる確率が高いということです。 競合他社のアカウントのフォロワーをフォローし、投稿に対して「いいね」やコメントなどのアクションをし、自社もフォローしてもらうようにします。3.6.2 自社の商品やサービスに言及してくれているユーザーを探すキーワード検索やハッシュタグ検索を活用し、自社の商品やサービスを認知して、言及してくれているユーザーを探します。 そのユーザーの投稿に対して「いいね」やコメントなどをして、自社のアカウントの存在を認知されるようになれば、フォロワーになってもらいやすくなります。3.7 影響力のあるアカウントとの交流を図る自力でフォロワー数を増やすのは、なかなか難しいです。 なので、その業界における有名な公式アカウントやインフルエンサーの力を借りましょう! 有名な公式アカウントやインフルエンサーの投稿に対して「いいね」やコメントなどをし、自社のアカウントが他のユーザーの目に触れる機会を増やします。3.8 人事の個人アカウントで運用する企業の公式アカウントでは、人間味やリアルさを出しづらいということもあります。 可能であれば、人事の個人アカウントを作成し、普段の投稿に加えて人間味にあふれた投稿もすることで、多くのユーザーの共感を得やすくなります。 その結果として、自然とユーザー数も増えていくでしょう。注意点としては、担当者が誤って社外秘の情報を発信しないことや、企業の活動に全く関係のない情報を発信するなど私的利用しないことなどが挙げられます。情報の取り扱いやSNS運用に関する教育を担当者に行った上で、SNSを活用しましょう。3.9 ユーザーにとって有益な情報を発信するSNSのユーザーの多くが、何かしらの情報を得るためにSNSを利用しています。特に自分にとって有益な情報を得たいと考えているユーザーが多いです。そこで、自社アカウントをフォローしているユーザーがどのような情報を得たいのか分析し、期待に応える有益な情報を発信しましょう。例えば、自社が属する業界の動き、自社サービス・商品の情報、自社サービス・商品を活用したライフハック、自社代表の想いを語ったインタビュー記事など。有益な情報が得られると分かれば、ユーザーは自社アカウントの投稿に注目するでしょうし、「いいね」や「リツイート」などで投稿を拡散してくれる可能性があります。すると、さらに多くのユーザーの目に届き、フォロワーの増加にもつながります。4. 応募数を増やす方法自社のアカウントが認知されてフォロワー数が増えてきたら、採用担当者としては応募を獲得したくなります。SNSを経由して応募数を増やす方法を4つ解説します。転職者、就活生の利用頻度が高いハッシュタグをつけて投稿するターゲットが応募前に知りたい情報を発信する投稿に応募の導線を組み込むターゲットにダイレクトメッセージを送る4.1 転職者、就活生の利用頻度が高いハッシュタグをつけて投稿する転職者や就活生がどのようなハッシュタグをつけて投稿をしているのかを調べ、利用頻度の高いハッシュタグをリストアップし、自社が投稿するときに活用します。 例. 新卒の学生に向けた投稿につけるハッシュタグ #25卒 #25卒とつながりたい #新卒 #インターンシップ4.2 ターゲットが応募前に知りたい情報を発信するターゲットから応募を獲得するためには、発信した情報を通じて「興味や関心を持てる」「自分に合っていそうな会社」「応募に際しての不安が少ない」と思ってもらえるかが重要です。 応募に対する意欲を高めるのに欠かせない情報は以下の通りです。カジュアル面談や選考に関するQ&A求人票では伝えきれない「リアル」な情報4.2.1 カジュアル面談や選考に関するQ&Aターゲットは「カジュアル面談も実施しているのか」「カジュアル面談はどのように行われるのか」「どのような選考の流れか」「選考で見ているポイントはどこか」などを気にします。 なので、これらに関する情報を発信し、ターゲットに面談や選考のイメージを持ってもらうことで、応募の獲得につなげます。 新卒採用の場合は、インターンシップや選考フロー、提出物に関する情報なども発信するといいでしょう。4.2.2 求人票では伝えきれない「リアル」な情報求人票では項目が決められており、文字数に制限もあるため、自社のさまざまな情報を細かくターゲットに伝えることができません。 しかし、SNSを通じて伝えたい情報を細分化して伝えれば、求人票では伝えきれなかった自社の「リアル」な情報をターゲットに届けることが可能です。 求人票ではなかなか伝えきれないが、ターゲットが知りたいと思っている情報の例は以下です。4.3 投稿に応募の導線を組み込む投稿内容を閲覧したユーザーが応募したくなったときに応募できるように、投稿にカジュアル面談の申し込みや応募ページのURL、採用管理システムで作成した応募ボタンが埋め込まれた求人票などを貼り付けます。 応募数を増やしたい場合は、いろんな情報を貼り付けるのではなく、応募に誘導することに注力した投稿を心がけましょう。4.4 ターゲットにダイレクトメッセージを送るキーワード検索やハッシュタグ検索で、自社の求めるユーザーを見つけた場合は、ダイレクトメッセージを送りましょう。 ユーザーの過去の投稿を見て、重視している価値観や何に興味・関心を抱いているかを調べてから、スカウトメールを送る感覚でダイレクトメッセージを送信します。 ※スカウトメール、ダイレクトメッセージの効果を高めたいと思っている方は、ぜひこちらの記事もご覧ください。ダイレクトリクルーティング媒体を利用して応募数を増やす方法 5. SNSリクルーティングを活用して応募数を増やそうユーザー数が多いSNSを使ったリクルーティングは、新しい採用活動として注目されています。基本的にSNSは無料でスタートできるため、金銭的なコストを抑えて始めることが可能です。幅広いユーザーにアプローチできる点などを考えても、まだ行っていない企業はぜひトライしてみましょう。もちろん、何となく始めるのでは思ったような効果は得られません。採用したい人材のペルソナを決め、その人材がどのSNSを使っているのか、どのような時間帯にSNSを見ているのか、どのような投稿をすれば興味を持ってもらえるのかなどを分析しながら運用することが求められます。SNSリクルーティングを行う場合は、本記事で紹介した内容をぜひ参考にしてください。SNSリクルーティングに限らず、複数の採用方法で応募を増やすことが理想の人材の獲得につながります。以下の記事もあわせてご覧ください。掲載課金型媒体を利用して応募数を増やす方法人材紹介会社経由の応募を増やす方法オウンドメディアの閲覧数・オウンドメディア経由の応募数を増やす方法