「中途採用をしたいけれど、どんな方法があるのだろう」「中途採用の手法と、手法ごとのメリット・デメリットを知りたい」このようにお考えの採用担当者様も多いと思われます。本記事では、採用手法の種類とそれぞれの特徴やメリット・デメリットについて説明します。採用戦略を検討する際や、母集団形成・応募数に課題がある場合などはこちらを参照し、採用手法やチャネル(媒体・流入経路)の見直しを行いましょう。1.中途採用手法の種類とそれぞれのメリット・デメリット中途採用の手法は大きく「能動的施策」と「受動的施策」の2つに分けられ、以下の13種類があります。能動的施策(自らアプローチする施策)広告型求人媒体ダイレクトリクルーティング型媒体SNSイベント・ミートアップアルムナイ(退職者)への声がけリファラルタレントプール受動的施策(求職者の行動を待つ施策)クリック課金型求人サイト人材紹介人材派遣オウンドメディア・自社の採用サイト採用代行(RPO)ハローワークそれぞれの特徴やメリット・デメリットについて紹介していきます。1.1 広告型求人媒体まずは、能動的施策から紹介します。その1つが広告型求人媒体を利用した採用です。広告型求人媒体とは、企業が求人広告を掲載し、中途採用のための候補者を募集するためのプラットフォームです。広告型求人媒体では、企業が自身の求人広告を作成し、掲載することができます。(例:リクナビNEXT、doda、マイナビ転職など)広告型求人媒体を使って中途採用を行うことには、以下のようなメリットがあります。多くの求職者へのアクセス可能高い露出と可視性自社ブランドの露出が可能応募者管理の支援ツールが利用可能一方、以下のようなデメリットもあります。応募者の質がバラつく場合がある競争の激化する場合がある広告費用が増加しやすい適切な広告戦略が必要求職者の応募動機の欠如1.2 ダイレクトリクルーティング型求人媒体ダイレクトリクルーティング型求人媒体は、特定の求職者をターゲットにして直接採用活動を行うためのプラットフォームや手法のことです。(例:Green、ビズリーチ、レバテックダイレクトなど)ダイレクトリクルーティング型求人媒体を使って中途採用を行うことには、以下のようなメリットがあります。希望に近い人材へ直接アプローチが可能非公開求人による競争の回避が可能パッシブ求職者(現在の職場に満足しており積極的に求職活動をしていない人)へのアプローチも可能特定の求職者と個別にコミュニケーションが可能:一方、以下のようなデメリットもあります。個別のアプローチに時間と手間がかかる応募書の数を増やすのが難しいターゲットミスをした際に採用活動の効率が落ちるパッシブ求職者へのアプローチは効果が薄い場合がある1.3 SNSTwitterやFaceBook、Instagramなど、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を活用して、中途採用を行う方法です。主に以下のメリットが挙げられます。幅広い年齢層、地域の求職者へにアクセスできる企業のブランド認知度の向上が狙えるSNSのターゲットマーケティングを使って自社に興味のあるユーザーを候補者としてピックアップしやすい採用候補者と直接連絡が取れる求人広告媒体の活用よりコスト効率が高い場合がある一方、以下のようなデメリットもあります。応募の増加により採用活動が非効率する可能性があるプライバシーとセキュリティの懸念から自己情報を開示しないユーザーが多い情報を非表示にしているユーザーとはコミュニケーションが取れない場合がある炎上などにより自社ブランドに悪影響が及ぶ可能性があるリアルタイムで流れる情報を追い続ける必要があるため、担当者にかかる負担が大きくなりやすい1.4 イベント・ミートアップ中途採用向けのイベント・ミートアップへの参加、あるいは開催することで求職者を集め、その中から採用をするという方法もあります。イベントに参加・主催して中途採用を行うメリットとしては、主に以下のものが挙げられます。一度のイベントで多くの求職者と接触できる可能性がある求職者とリアルタイムにコミュニケーションがとれ、どのような人物か判別しやすい自社ブランド露出とアピールが狙える転職に意欲的な人材の獲得が可能一方、以下のようなデメリットもあります。イベント出展や運営に多くのコストとリソースが必要:候補者が特定の日時に集まれる人に限定される短い時間で自社の説明を行う必要がある求職者も短い時間で企業の特徴を把握することが求められる1.5 アルムナイ(退職者)への声かけアルムナイとは、企業を退職した人のことです。一度自社を退職した人に声をかけ、再度中途社員として採用する方法もあります。アルムナイに声かけをして中途採用することのメリットには、以下のようなものがあります。自社への関心や忠誠心が高い社員を獲得できる自社の文化や働き方を理解した社員を獲得できる社内で人間関係ができあがっている場合がある一方、以下のようなデメリットもあります。組織としての多様性や新鮮さが生まれにくい可能性がある過去の経験がある分、斬新な発想を得にくい組織の大幅な変革をしたい場合、難しい可能性がある1.6 リファラルリファラルとは、自社の従業員や関係者などが知人を推薦することです。その推薦された人を採用するという方法もあります。リファラル採用には、主に以下のようなメリットがあります。信頼のおける人物を採用できる可能性が高い自社の文化とマッチする人を採用できる可能性が高い求職者の募集など採用に必要なステップを効率化できる求人広告費などがかからないため、コストを削減できる一方、以下のようなデメリットもあります。推薦者と似たバックグラウンドを持つ人材が増え、組織としての多様性が広がらない可能性がある社内に知人同士の閉鎖的なつながりが生まれる場合がある推薦された人を優先してしまい、公募で集まった優秀な人材を見落とす可能性があるいわゆる縁故採用に近い形のため、人事の公平性が失われる可能性がある1.7 タレントプールタレントプールとは、企業が将来の人材需要に備えて候補者を保持・管理するためのデータベースのことです。人材管理システムや応募者追跡システムなどのツールを使用して構築・管理されることが一般的で、将来の採用ニーズに対応するために適切な人材を早期に特定し、関係を構築しておくことを目的に利用されます。タレントプールを使って中途採用を行うことには、以下のようなメリットがあります。採用プロセスを迅速に進めやすい求める人材に合致する人を見つけやすい長期的な人材採用の対策になる求人広告を出すコストを削減できる一方で、以下のようなデメリットもあります。タレントプールに登録されている人材のキャリアが時間と共に変化し、自社のニーズと合致しなくなる場合があるタレントプールを活用する他の企業と競争が生まれる可能性がある採用候補者がタレントプールに登録されている人材に限定される1.8 クリック課金型求人サイトここからは、受動的施策を紹介します。まずはクリック課金型求人サイトです。クリック課金型求人サイトとは、企業や採用担当者が求人広告を掲載する際に、実際の応募やクリックなど特定のアクションが行われた場合に課金されるサービスを指します。(例: indeed、求人ボックス、スタンバイなど)クリック課金型求人サイトを利用して中途採用を行うことには、以下のようなメリットがあります。広告費の最適化が可能求職者の属性に合わせた広告の配信が可能クリック数などリアルタイムのデータが取得可能自社の広告をクリックした、関心の高い求職者を採用可能一方で、以下のようなデメリットもあります。クリック数が増えた場合、費用が上がるため予算コントロールが難しい1つの広告枠に多くの企業が入札し、競争が激化する場合がある長期的な求職者の募集には不向き広告が配信される求職者が限定される場合があり、属性が偏る可能性がある1.9 人材紹介人材紹介会社や転職エージェントなどから紹介された求職者を採用する方法もあります。紹介会社やエージェントが面談を行った求職者を採用することが可能です。人材紹介を活用して中途採用を行うメリットとして、以下のようなものがあります。人材紹介会社の広いネットワークを活用できる人材紹介会社から選考のサポートを受けられる人材紹介会社が収集した求職者や業界のデータなどを受け取れる条件に合致する求職者のみが応募できる非公開求人を人材紹介会社経由で出せる一方で、以下のようなデメリットもあります。採用後、人材紹介会社に報酬を支払う必要がある紹介される求職者は、その紹介会社に登録している求職者のみに限定される面接以外で求職者とコミュニケーションをとれない自社独自の採用ノウハウなどが蓄積しにくい1.10 人材派遣人材派遣とは、人材派遣会社を通じて派遣労働者を一定期間雇用する形態のことを意味します。労働者は人材派遣会社と雇用契約を結び、人材派遣会社がその労働者を企業などに派遣する形式です。労働者の雇用に関する手続きや労務管理などは人材派遣会社が担当し、企業側は労働力を派遣労働者として受け入れます。中途採用として人材派遣を活用するメリットとして、以下のものが挙げられます。プロジェクト内容などに応じて柔軟に人員を調整できるすでにスキルや経験を持った人材を雇用できる採用に関する手続きや労務管理の効率化人材派遣会社のサポートを受けながら採用ができる一方で、以下のようなデメリットもあります。人材派遣会社に仲介料を払う必要がある人材の選考は派遣会社が行うため、自社の文化と派遣された人がマッチしない可能性がある雇用期間が限定される派遣労働者の所属は人材派遣会社になるため、自社への帰属意識が生まれにくい1.11 オウンドメディア・自社の採用サイト自社でWebサイトなどのオウンドメディアを立ち上げたり、自社で採用サイトを作成したりして、求職者を募集する方法です。オウンドメディアや自社のサイトを使って中途採用を行うことには、以下のようなメリットがあります。企業のブランドイメージを強化できる自社のターゲット(理想とする求職者)に向けて情報発信ができる求人広告費を下げることができる長期的な採用活動に向いている一方で、以下のようなデメリットもあります。求人サイトなどと比較して集客力が低い場合がある運営や更新の負担がかかる応募してきた求職者への対応や情報管理なども自社で行う必要がある効率的な採用のための効果測定や施策の立案などを全て自社で行う必要がある1.12 採用代行(RPO)採用代行とは、RPO(Recruitment Process Outsourcing)とも呼ばれ、人材採用業務を外部の採用支援会社に委託することです。採用代行会社が代わりに候補者の選考や採用手続きなどを行います。採用代行を使って中途採用を行うことには、以下のようなメリットがあります。採用代行会社が保有する採用のノウハウを活用できる採用代行会社から多様な採用手法の提案を受けられる場合がある採用活動にかかる時間の効率化求人広告にかかる費用の削減一方で、以下のようなデメリットもあります。採用代行会社へ支払う費用がかかる採用代行会社が自社の文化などを十分に理解しないまま採用活動を進めてしまう可能性がある求職者と直接のコミュニケーションを取る機会が減る採用代行会社のセキュリティ対策が不十分な場合、求職者の情報漏えいなどが起きる可能性がある1.13 ハローワークハローワークとは公共職業安定所のことで、労働者と雇用主のマッチングを支援し、雇用の促進や労働市場の安定を図るための組織です。ハローワークを使って求職者を集めることもできます。ハローワークを使って中途採用を行うことには、以下のようなメリットがあります。ハローワークが持つ多様な求職者のネットワークを活用できる公共機関という高い信用性と公平性ハローワークの職業訓練を受け、スキルを身に付けた人材を採用できるハローワークは地域密着型の組織のため、特定の地域の人材採用に強い一方で、以下のようなデメリットもあります。ハローワークでは求人が一般公開されるため、想定以上の求職者が集まってしまう場合があるハローワークには幅広い人材が集まる分、適性を見抜くのが難しくなりがち特定の地域以外の人材を採用する場合、他の採用手法との併用が必要になる他企業との競争が激化しやすい2.中途採用における近年のトレンド中途採用の手法は、自社の採用課題や目的にあわせて使い分けることはもちろん、時代によって変化する求職者の志向や採用競合の動向を把握したうえで、柔軟に対応していくことも重要です。 近年、中途採用のトレンドとしては、次の3つの手法を取る企業が多く見られます。<中途採用のトレンド>ダイレクト・リクルーティングでの母集団形成リファラル採用の強化オウンドメディアでの採用ブランディングの強化 それぞれ説明していきます。2.1 ダイレクト・リクルーティングでの母集団形成近年、少子高齢化による労働人口の減少などにより、従来の「待つ」タイプの手法だけでは人材を獲得しづらくなっています。そのため、近年の中途採用市場では、多くの候補者の中から「人材を選ぶ」というより、優秀な人材に「自社を選んでもらう」という姿勢が求められています。そこで、「ダイレクト・リクルーティング」という、企業側からスカウトを送付して、興味を持ってもらい母集団形成につなげるような成果報酬型の求人媒体が、優秀な人材の採用決定に効果的な手法となっています。2.2 リファラル採用の強化少子高齢化による労働人口の減少背景から、優秀な人材を獲得するための手法として、社員を巻き込むリファラル採用がトレンドとなっています。特にリファラル採用の場合、社員の知人だからこそマインド・性格面などのマッチ度も高く、効率の良い手法といえます。 そのため、近年では紹介してくれた社員に成果報酬を支払う制度などを設ける企業が多く、リファラル採用を強化する傾向にあります。 2.3 オウンドメディアでの採用ブランディングの強化こちらも同様の背景から、「自社を選んでもらう」ため、企業側からの発信が必要となっています。また、SNSの普及により、求人媒体上の情報だけでなく、様々な情報を収集できる現代において、より企業の印象が重要となっています。 そのため、求職者に「この会社で働いてみたい」と思われるには、企業側からの内部情報の発信を行い、ブランディングを強化する必要があり、近年オウンドメディアでの情報発信がトレンドになっています。 3.採用手法の選び方下記の図のように、採用手法は即効性のある「短期的な手法」と、従来の採用課題を解決するために時間をかけて取り組む「長期的な手法」に分かれます。 下記のポイントを参考にし、予算と相談しながら自社にとって最適な手法を選びましょう。 <採用手法を選ぶポイント>【短期的】急な欠員を補充したい →すぐに候補者へリーチできる求人広告・人材紹介・ダイレクトリクルーティングがオススメ【長期的】従来の採用課題を解決したい →低コストで母集団形成したいならSNS採用・リファラル採用 →ターゲット層や優秀層に絞ってアプローチしたいならダイレクトリクルーティング→企業イメージや認知度を高めたいならオウンドメディア・ミートアップ 最新トレンドや採用競合の動向を意識することも大事ではありますが、もっとも重要なのは「採用課題を解決できる手法を選ぶこと」です。また、採用手法はどれか1つが圧倒的に優れているわけではありません。それぞれメリット・デメリットがあるため、1つの手法に頼るのではなく、2〜3つの手法を組み合わせるようにしましょう。4.自社にとって適切な採用手法を選ぼう中途採用の手法は「能動的施策」と「受動的施策」の2つに分けられ、全部で以下の13種類あります。能動的施策(自らアプローチする施策)広告型求人媒体ダイレクトリクルーティング型媒体SNSイベント・ミートアップアルムナイ(退職者)への声がけリファラルタレントプール受動的施策(求職者の行動を待つ施策)クリック課金型求人サイト人材紹介人材派遣オウンドメディア・自社の採用サイト採用代行(RPO)ハローワーク近年のトレンドは、ダイレクト・リクルーティングでの母集団形成リファラル採用の強化オウンドメディアでの採用ブランディングの強化の3つの手法ですが、必ずしもこの方法が優れているとは限りません。本記事で紹介したそれぞれの手法のメリット・デメリットを参考に、自社に合った中途採用手法を選びましょう。